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白い吐息が空気に溶ける。
寒いのに交わる様に溶ける様子は、まるで今の私の心かな。
雪が小降りになり、私達は小高い展望駐車場に来ていた。
頭が白くなった山々に囲まれた街が、雪に埋もれて真っ白に、ふわふわに包まれ、その向こうに海が広がる。
変な風景だ。
街が雲に見えて、山が頭を出している。
そして、海が空に見えて、その上に更に雲がある。
大学の講義が終わると、あまり話したことのなかった彼にカメラ持って、って言われてここに連れてこられた。
でも彼は、とてもかっこよくて……、いつも誰かしら女の子がいて……、チャラチャラしてる人なんだと思っていた……ついてきて良かったのだろうかって。
A「何であんな事言ったの?もっと可愛い娘いるでしょ。」
彼は、白いタメ息を混じらせ私を見詰めた。
筋のとおった鼻先を少し掻きながら、力強く大きな瞳がこちらを向いている。
B「大学の入学式で君を見た瞬間から、すぐに恋に落ちました。でも、仲良くなれるきっかけがなくて……、やっと君がカメラ好きだとわかったんだ。だから、雪の降ったこの日しかないと思った。」
彼は、この不思議な風景に手を伸ばした。私にプレゼントしてくれているかのように。
これは……、いい風景だよ。
私は、心に正直にカメラを構えて、1枚シャッターを切った。A「私、この風景好きになった。」
彼は、もう一度、力強い眼差しで私を見詰めた。
B「だから、もう一度言うね。好きなんだ付き合ってくれ。」
私もずっと彼を見ていた……入学式から。
でも、諦めていた。
私は曇ったレンズ越しに彼を見ていたのかもしれない……。
私の答えは決まっていた。
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