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「そうなんです! そうなんです! 世間はそんな様でも警察は民事不介入な上、動き出すのは実害が伴ってからです。 もし仮に私が今から刃物を持ち出して、お客様に襲い掛かっても手の施しようがないんです。 そのうえ・・・」
「あのー。被殺害保険ってのは、契約者が誰かに殺された時に保険金が支払われるということでいいんですよね?」
長ったらしい前置きに飽きた男が無理やりに横やりを入れると、営業マンは話を潰されて嘆くかと思いきやをことのほか喜びを見せた。
「さようでございます! いやーお客様は頭の回転が速くていらっしゃる。 ただ、一点だけ訂正させていただくとすれば、我々がお支払するのはお金ではございません」
「え?・・・お金じゃない?」
意外な言葉に男の口からは勝手に言葉が漏れ、アッと思った時には営業マンは既にとろけそうな笑顔を見せていた。
「ええ。 ええ。 さようでございます! さようでございます! もしや、ハンムラビ法典というものをご存知ですか? 古代メソポタミアに存在した法律のようなものなんですが、『目には目を歯には歯を』のあれです! あれ!」
「ええ。まぁ、知ってますけど・・・」
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