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シンデレラと王子様の出会い
「これだけたくさんのお洗濯を、あなたが?」
「はい、家のことは全て私がしています」
シンデレラが川のほとりで洗濯をしていると、この国のとてもステキな王子さまが話しかけてくれました。
彼は身分に関係なく、誰とでも話すことで知られています。そろそろお姫様をもらうのでは? と、国中はその話題でもちきりでした。
「そうですか、とても大変なんですね」
「いえ、慣れていますから」
本当はとてもキツイのですが、シンデレラはそう言って笑ってみせました。彼女の本当の母親は既に亡く、継母(ままはは)とその娘があらわれてからは、家のことを全て押し付けられていました。
「でも、全部するのは大変でしょう」
王子さまから思わぬ労い(ねぎらい)の言葉がかけられ、シンデレラは少し顔を赤らめました。
その時、馬車の中から初老の御者が降りてきて、
「王子さま、そろそろ城に戻る時間でございます」
城に戻るように促しましたが、
「もう少し良いでは無いですか」
「……、わかりました。それでは少しだけですよ」
「ありがとう、キミ、突然だけど僕と踊ってくれないか?」
「わ、私と、ですか?」
思わぬ言葉にシンデレラは声を詰まらせました。
王子さまはシンデレラの手を取ると、御者にワルツのリズムを手拍子するように言いました。
シンデレラはそのリズムと王子さまのリードに合わせ、一生懸命踊りました。
踊りがひと段落すると、彼女の懸命な踊りが王子さまはとても上機嫌です。
「ステキな踊りだったよ」
「あ、ありがとうございます!」
「こんどお城で舞踏会(ぶとうかい)があるから、そこに招いてあげる」
「ほ、ほんとうですか!?」
「ああ、またキミと踊りたい」
見に余る光栄に、シンデレラは天にも昇るような気持ちでした。
何日か後、本当にお城から招待状が届きました。そこにはなんと、舞踏会に招待された人の中からお嫁さまが選ばれ、翌日には結婚式が行われると書かれていました。
また、選ばれなかった人も、そのまま披露宴に参列できるそうです。
「もしかして、王子さまにお嫁さまに選ばれたりして……」
シンデレラは淡い夢を抱き、舞踏会の日をとても楽しみにしていました。
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