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僕らが出会ったのは、寒い冬の日のこと…
飲んだくれて道端で潰れていたのを、気まぐれで助けたのがキッカケだった。
あの日以来、ソイツはまるで猫みたいな気まぐれさで懐いてる。
「……また来たのか…」
布団の中に小さくなって寝てる奴を見て、そう呟いた俺は吐息をついた。
合鍵を渡したのは失敗だったかな~
なんて……
でも酔い潰れたままココを訪ねてきて玄関先で寝ていたのを何度も見たら、ワケがわからない情にほだされてしまったのだ。
『オマエな風邪ひくぞ』
『…』
『合鍵やるから、コレからは中に入ってこいよ』
とは言った。
確かに言った。
でもま~こんな図々しく何度も侵入されるとは、まさに想定外。
「シュウ」
「…ん」
「起きろ。シュウ」
キラキラ金髪がまず出てきた。
「俺、もう出る時間なんだけど」
出てきた頭が引っ込む。
「シューウ!!」
バッと布団をはぐと、縮こまったまま生意気に睨んできた。
「今日もご奉仕するから~」
「ったく」
俺はまた布団を頭からかけてやると、急ぎ足で玄関に向かった。
「行ってらっしゃい」
靴をはきながらシュウを見ると、片肘ついて布団の中から手を振っている。
何様だ?アイツは…
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