第1話 ありふれた日々とノラ猫

4/7
前へ
/203ページ
次へ
今日は何となくさっさと定時で上がり、家に帰ってみることにした。 もともと無償残業なんてしたくはない。 成績のためには仕方ないと毎日してきたが、たまにはいいだろう、くらいの気持ちでタイムカードを通して会社を後にした。 満員電車に揺られながら、 まだシュウはいるんだろうか… なんて考えてしまう。 俺はただボーと外の景色を見ていた。 いつもは真っ暗闇の場所に明かりが灯った景色を見ながら帰るのはどれくらいぶりだろう。 帰り道も人の存在があり、笑い声がする。 いつもはただ無心に家路を急ぐ足も、今日はゆったりと進んだ。
/203ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加