ブラックボックス・ランド＜改稿版＞あらすじ

ブラックボックス・ランド

地下都市国家”日本”に住む美香は子どもの頃、健という少年と出会った。健は「いつかこの狭い場所から逃げよう」と言った。その真意を聞く前に健は姿を消してしまう。美香はそれ以来、健のことが忘れられずにいる。

十年後、美香は健と再会する。健の話によると、十年前、健は外の世界から地下へと紛れこんでしまい、身分を隠しながらタイミングを見計らって自力で逃げ出したのであった。美香は健から日本国についての真相を聞く。

この地下に住む住民は外の世界の「日本国」が秘密裏に行っている社会行動学実験のモルモットであった。将来的に国民を完全なコントロール下に置きたい政府は、情報統制された閉鎖環境下での人間の行動を、小さな都市国家を実際に地下に複数作って計測している。

実験都市はここを含め国内に全部で十あるという。日本国は地下国家の存在を公にしていないのだが、十年前に偶然潜りこんだ健のおかげで反政府組織はその証拠を突き止め、彼らを解放する反乱を起こす計画をしていた。健もその一員である。