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朝、自分のベッドで目覚めたら隣に全裸の少年がいた。
いや少し嘘だ。掛け布団をめくってチェックしたら、上半身は裸だが下半身にはバスタオルが巻いてあり局部は隠されている。あれ? でもちゃんとした衣服ではないからやっぱりこれは全裸というのだろうか。
そんなどうでもいいことで悩む振りをして、もっと大きな疑問を後回ししているズルい私。この子、誰だっけ?
少年はまだ眠っている。なかなか綺麗な子だ。
うつ伏せで寝ているその背中に視線が吸い込まれる。白い肌は染み一つなく滑らかで絹のよう。呼吸に合わせて上下する背。二つの肩甲骨は力強く骨を主張し、思わず手を伸ばしてしまう。
尖った頂点に触れると、少年の体はピクッと震えた。それからもぞもぞと動き出す。
ふわぁと息を吐き、うーんと猫のように身体を伸ばす。無駄に長いまつ毛が揺れて、これからその目が開くことを知らせてくる。
待って、私どうしていいのか分からない。
開いた瞼からは垂れ目がちの大きな瞳。その瞳が私を覗き込んでくる。誰この人? となる展開を恐れていたのだが、彼はそんな態度は一切示さず、大きな瞳を弓型に緩めてフワッと笑った。
「おはよ、おねーさん」
完璧だ、完璧な笑顔が逆に私を追い詰める。
「お、おはよう……ございます」
こちらが卑屈に出るぎこちない挨拶になってしまった。
「昨日は泊めてくれてありがとう。やっぱりお布団はいいね。おねーさんはどう? お酒抜けた?」
お酒、ああそうだ、昨日は浴びるように飲んだんだ。意識すると急に二日酔いの気持ちの悪さが忍び寄ってくる。だけどその前にどうしても確認しなくちゃならない。
「あ、あのね、ごめんね、ホントに申し訳ないんだけど……」
もごもごとそう切り出すと少年は、ははーんと息を吐いた。
「さては覚えてないんでしょ。酷いなぁ、あの橋の上で、僕カラダのいっぱい探ってきたくせ」
橋? そうだ真夜中の跨線橋だ。
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