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「とりあえず、店いく? 手当て・・・、って病院の方がいいか」
「いえ。目直撃は避けたのでたぶん大丈夫だと思います」
「うーん、でも」
「変だったら明日にでも自分で病院にいきますから」
「そうか?」
じゃあ、とりあえず店にいくか。今日は定休日にしてたけど、ここからなら店が近いし。
中に彼を入れるくらいどうってことない。俺のせいだし。
若干、面倒なことになったと思いながらも彼をたたせ店に急いだ。
「ほら。これで冷やして」
「ありがとうございます」
いや、だからお礼をいうのもおかしいよね。この人、ドMなの?
というか、日下くんってほんとついてないというか、間が悪いというか。
残念すぎる。
「えと。一応。助けてくれてありがとう。まぁ、余計なお世話だけど」
「はは。迷惑そうっすね」
そう、じゃなくて迷惑だから。
キラキラと純粋そうな瞳を向けられると、自分がいかに汚れていて堕ちてるのか想い知らされる。
だから、彼が苦手だ。
このバーで演じている”真二さん”という人物がいかに偶像な存在なのかと思い知らされる。
ここに立つ、ニコニコ笑顔を振り撒き人の悩みを暖かく聞いて寄り添う、いい人な真二さん。
それは、俺が必死に作り上げている偶像の姿にすぎない。
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