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「それでもいいならやってもいいよ」
そう言って、日下くんの襟をつかみ引き寄せ唇を重ねた。
強引に舌を捩じ込み、咥内を侵していく。
クチュクチュと水音を響かせ、逃げようとする舌を絡みとった。
「ーーーん、・・・っ!」
ドン! と胸を押された。
俺は、その抵抗にすぐに彼を解放する。
離れた唇から糸が伝う。
「ふっ、真っ赤になって可愛い」
「ーーーっ」
日下くんは真っ赤な顔を腕で隠すようにし、そのままバーを飛び出していった。
俺は小さく息を吐く。
これでいい。
もうバカなことは言わないだろう。もうバーにも来ないかもしれない。
それでいい。
そう、仕向けた。
小さな明かりだけのバー。
ポツンと一人、取り残されたような気がした。
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