ーー君はヒーロー

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「俺はただ、朝霧さんに俺を好きになって欲しいのに」 「好きになれって言ってなれるもんじゃないだろ」 「そうだけどさー! あんな男より、俺の方がずっと幸せにするし、大切にするのにさ!」  その自信は誰よりもあるのに。  朝霧さんは、ダメだと言う。恋はしないと、誰のものにもならないと言う。  遊びならいい。でも、俺は遊びは嫌だ。  だから、昨日キスされたときも逃げてきた。流されたくなかった。  お陰で、帰って自己処理する羽目になったのを、朝霧さんは知らない。 「でも、なかなか難しいんじゃないか? そういう人を本気にさせるって」 「・・・うん」  ひしひしと感じている。  最初は、強引にアピールして押していけばなんとかなるんじゃないかと思っていた頃もあった。  でもすぐに、それはないな、と気づいた。  朝霧さんが拒んでるんだ。そういうのを求めていない。  だから、クラっと来ることもない。 「でも、失恋したときって傷心中だろ。付け入りやすいんじゃないか?」 「そういうの、なんか嫌だ」
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