ーー君はヒーロー

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 呆れたような、どうでもいいような空気をそこに感じる。  どうすれば少しは俺の存在を朝霧さんの中に刻めるんだろう。  あの人が占めてるそこに割り込めるのだろう。   朝霧さんにとってのあの人が、俺にとっての朝霧さんだ。  愛しくて。大切で。大好きで仕方ない。  俺が幸せにしたくて。愛したくて。  俺の全部をあげたくて、彼の全部がほしくて。  どうにかなりそうだ。  俺もあの人みたいになれば、少しは気にかけてもらえるだろうか。  体を鍛えて、癖のある髪を整えて。顔はどうしようもできないけど、眉を寄せきりっとさせるなんかして。  そうすれば、俺も他の人みたいに彼の代わりにさせてもらえるのだろうか。  そう考えてすぐその考えを消し去る。  俺は代わりになりたいわけじゃない。  そんなの、むなしいだけだーーー。  結局。どうしようもなく焦がれるだけ。
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