623人が本棚に入れています
本棚に追加
ーー渚のことが、好きになった
渚というのは、彼が付き合うことになったという人。それは、男だった。
衝撃なんてものじゃなかった。
絶望なのか、なんなのか、訳がわからない感情が溢れてきてダメだった。
親友として俺に紹介してくれたであろう彼、ーー孝明にちゃんと対応できたのかそのときの記憶はあやふやだ。
どうして。なんで。俺じゃないんだ。
俺と彼と何が違う?
諦めたのがダメだったのか?
だって、孝明は女が好きだっただろ。俺が迫ったって、きっとダメだった。でも、そうじゃなかった?
渚くんは、俺が孝明に紹介した。彼はどこか儚げで助けてあげたいと思わせる子だった。
色々なトラブルに見舞われ仕事が続かないという彼に、孝明の家の家政婦業を取り付けたのは俺だ。
でもそれは、渚くんのためというよりは孝明のためだった。
自分のことに無頓着で、だらしがない孝明の助けに少しでもなりたかった。
でも、自分がしなかったのは、下心がばれたくなかったからだ。
そのツケが来たのか。
渚くんは男にしては綺麗な顔をしていて中性的な顔つきをしていた。そこも俺とは大違いだ。
俺は顔つきは優しいと言われるが、見る限り男で、体つきもそこそこ筋肉質な長身。
それがいけなかったのか?
もっと、女の子っぽい男だったらよかった? 家庭的なところを見せてたら?
孝明は俺を選んでくれただろうかーーー。
最初のコメントを投稿しよう!