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「ーー悪い。なに言ってるんだろうな。真二に聞いてもらいたかったんだが、とりとめのない話になってしまった」
ほら。孝明が俺を求めてる。
いつもの親友である俺を。
「ははっ、俺にはノロケにしか聞こえないけど」
「・・・そうか」
本気で悩んでることくらいわかる。
何年見てきたと思ってる。お前だけを。
初めての本気の恋で戸惑ってる。
それも同性相手の恋だ。勝手が違うのだろう。
わかってやりたい。力になりたい。
でも、嫌だ。
だって俺がなりたかったのはそんな相談相手じゃないんだ。
俺がなりたいのは、お前に愛され慈しまれるそっち側だーーーー。
「悪かったな。帰るよ」
「え」
「あいつが目を覚ましたときに側にいたいんだ」
それはそれは、とても優しい顔だった。
今までに見たことのない、本当に愛しい人を思う顔。
それを、こんな形でこんな立場で見たくなんてなかったーーーー。
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