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”close”の看板を出す。
もう、店を開ける状態じゃなかった。
なにもかも、もうどうでもいい。
「うぁあああああぁ!!」
けたたましい音をたてグラスが割れる。
肩を上下させ、ワナワナと震える拳を叩きつけた。
もう、会えないと思った。
孝明に、会うことはできないと。
だってもう、取り繕うことはできない。
孝明の求める俺のままでいられない。
ワインボトルをひっ掴み、グラスになんて注がずそのまま口をつけボトルを傾け流し込む。
口の端から溢れ出たワインが白いシャツに赤い染みをつけていく。
空きっ腹にアルコールは簡単に俺を泥酔状態にさせた。
ワインを流し込んでは嗚咽し吐き戻す。
吐いては飲んでを繰り返した。
どうでもいい。
消えてしまいたい。
もう、生きていけない。
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