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「落ち着いてください。無理しないで、しんどいでしょう?」
「バカなのか!? お前、なに考えて・・・!」
青ざめたまま俺を責め立てる。
どうにか落ち着かせたいけど、無理のようだった。
ならば、朝霧さんの問いにちゃんと答えなくちゃいけない。
「昨日の夜のこと覚えてるんですね? だからそんなに取り乱すんですか?」
「俺は、俺はお前を襲ったんだぞ! 嫌がるお前を組み敷いてお前のものを俺のなかに捩じ込んだ。なのに! なんでお前の部屋に俺がいる。どうして捨て置いてくれなかったんだ」
「捨て置かれたかったんですか?」
「ああ。ーーだからああした。もう、どうでもいい」
ああ、そうか。
投げやりになっていたのか。
きっと、それほどのことがあったんだろう。
これまで、俺には警告の意味を込めたあの一度のキス以外手を出そうとしなかった朝霧さんがこれだけの行動に起こしたのは、俺の気持ちを離させるため。
俺に、朝霧さんを嫌いになってほしかったのか?
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