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ーーもう抜け出せない場所へ
頭が痛い。体もギシギシでだるい。
理由はすべてわかっている。
昨夜、俺は自棄になって日下くんを襲った。
しかもそのあと、逆に日下くんに襲われ、抱き潰されたのだった。
自己嫌悪と、それでも快楽を得ている間はなにも考えられないほどだった。
あんなにも消えたいと、一人になりたい、孤独でいたいと荒んでいたのに、結局人の温もりを求めてしまう自分の浅はかさに嘲笑う。
「おはようございます」
少し気まずげな声がベッドから聞こえる。
俺は先に起き出して、冷蔵庫から勝手に取り出したミネラルウォーターに喉を鳴らしていた。
「おはよ。ったく、お前がさんざんしてくれたから腰と尻がさんざんなんだけど」
「すみません・・・」
年上のクセにうろたえた姿を見せたくなくて、あえて冗談混じりにそう言った。
日下くんはただ一言謝って、ベッドから降りてこちらへ歩いて向かってくる。
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