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「元々のお知り合いですか?」
「ああーー、高校の同級生なんだ」
「へぇ。背の高い方ですよね?」
「そう」
ああ、こういう日に限って他に客がいないから逃げようがない。
どうにか別の話題を探さないと。
そういうときに限って、めぼしい話題を見つけられないのはなぜだろうか。
「かっこいい方ですね。ああいう人がゲイだったなんて、女の人は泣くだろうなぁ。もったいないですね」
「孝明はーー、彼は、元々そっちではなかったはずだ。女とばかり付き合っていたし」
だから、諦めないとと思った。だから、忘れようと思った。
「へぇ。じゃあ、そういうのを取っ払えるくらいの”なにか”があったんですかね」
「・・・さあ」
渚くんにあって、俺にないものは。
きっと、恋人ができたと女をつれてきていたらこんなに動揺することはなかった。
そっか。おめでとう。今度は大切にしろよ。やっと特定の女を決めたのか。って当たり前みたいに祝福できていただろう。
だって俺は女にはなれない。そこにたてなくて当然。だから、納得もできたし諦めもついた。
いや、納得しようとしたし、諦めようともした。
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