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自分の気持ちに気づいてしまえば、そんな些細なことにさえ胸が疼いてしまう。
そして、それを消し去るように頭を振った。
「シャワー浴びてくる」
「一緒に入ります?」
「・・・っ、入らない!」
「ちぇ、ケチ。前は入ってくれたのに」
「前は前、今日は今日だ」
逃げるようにバスルームに向かう。
確かに、前俺が呼び出して身体を重ねたとき、一緒に入りたいという晴に快諾したのは俺だ。
でも、気持ちに気づいた今、冷静になって一緒に入るということがこんなにも恥ずかしいものだとは思わなかった。
頭からシャワーをかぶり、なんとか冷静を保つ。
それにしても、我ながらこんなにもあっけないものなのかと思った。
あんなにも何年も燻っていたはずの孝明への想い。
消化されれば、こんなにも呆気ないものなのかと。
しかも、本人ではなくその恋人に想いを吐き出したくらいで消化されるものだったとは。
そして、それくらい大きな存在に晴がなっていたとは。
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