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でも、今こんなにモヤモヤして息苦しくてどう しようもなく切なくなるのは。
渚くんが男で、俺がずっと密かに願っていた場所にたって望んでいた姿のまま彼に愛されていると知ったから。
だったら、俺でもよかったじゃないか。
きっとそうじゃないのに。それはわかるのに。心の奥底でそんな醜い感情が消えない。
「俺も、飲もうかな。今日は他に客もいないし」
「はい。飲んでください! 一緒に飲めるなんて、嬉しい」
日下くん、君の眩しいくらいの笑顔は、俺には明るすぎて居たたまれない。
それくらい、俺は汚れて濁って、黒ずんでしまった。
ああ。そうか。そんなやつ、孝明だって好きになんてなってくれない。
俺は、俺のまま愛される道を自分から遠ざけて諦めて、捨てたんだ。
「ばからし」
小さく呟いた声は、きっと誰にも聞こえなかった。
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