611人が本棚に入れています
本棚に追加
/265ページ
そして半ば強引に身体を繋がれ吐き出された。
こんなの嫌だと思いながらも、完全に抵抗ができなかったのは愛しい彼の手で施される快感から逃げられなかったから。
意思の弱い自分。
でも、こんなの、本当に嫌だった。
あれは、俺を求めていたんじゃない。
そんなことはわかる。
きっと、なにかがあったんだと。
それはきっと、朝霧さんの心を掴んで離さない一度だけ会ったあの人。
きっと、そうに違いない。
朝霧さんをこんなに傷つけ苦しめる存在が、憎くて堪らなかった。
俺は、割れたグラスやワイン瓶の片付け、きっと朝霧さんが吐いてしまったであろう水道の処理、自分と朝霧さんが吐き出してしまったそれの処理をすべて済ませると、倒れるように眠ってしまった朝霧さんを背負い自宅に連れ帰った。
放っておくことはできなかったし、こんな彼を一人にしたくなかった。
最初のコメントを投稿しよう!