6人が本棚に入れています
本棚に追加
学校の図書室は、いつも私を眠らせにかかる。
私がそこを訪れるのは決まって放課後。
まだ明るい日差しでぽかぽかとした陽気の中、窓からはそよそよと良い風が舞い込む時間帯。
そこは静かで、目の前には難しい問題の並んだ教科書達。
どうしたって瞼は重くなってくる。
(あー、むり。一回寝よう……)
眠いときは、仮眠をした方が目は覚めるとよく聞くし。
私は眠気と戦うことを諦め、ぱたりと机に突っ伏して寝る体勢を取った。
……数分ぐらい経っただろうか。
深淵まで落ちた意識が、ふっと戻ってくる。
ゆっくりと目を開けながら体を起こすと、目の前には幼馴染の冬羽がいた。
「お。起きたか」
「…………あれ?」
寝ぼけ眼で周りを見ると、すでに他の生徒はおらず、外も陽が沈みかけていた。
冬羽は、私の向かい側の席で読書をしていたようだ。手に持っていた本をパタンと閉じて立ち上がる。
「まーた仮眠と称してぐっすり寝たんだろ。もう下校時間だぞ」
こちらに歩いてくる冬羽は手に持っていた本の面で、まだぼーっとしている私の頭をバシッと叩いてくる。
「いたっ」
「ほら、お前も早く片付けろよ」
そう言いながら冬羽は、私の背後にある本棚のところまで行き、読んでいた本を片付けた。
「何も叩かなくても!」
冬羽にぶつくさ文句を言いながら、私も慌てて机の上に広げていた教科書達を片付けにかかる。
とは言っても、私は綺麗好きでも几帳面でもない。
出していた物を乱雑にスクールバッグに突っ込んで終了。
私の帰る準備はほんの十秒足らずで出来た。
「よし、行こっ!」
私は勢いよく立ち上がり、冬羽と一緒に図書室を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!