第1試合 春

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それからは一応速い球速についていけるような練習をしている。 先輩は俺のことが、多分羨ましいんだろう。俺の方 が打率高いし。 まだ入部したての新1年生にこんなにネチネチ言ってくるんだ。俺も疲れる。 「すみません。打つ気はあるんで、頑張ります。」 そうしてヘラっと笑ってまた練習する。 隣では同級生が監督に怒られていた。 (はあ、疲れたなあ) 最近よく思う。疲れた。肉体疲労というより、精神的なものだ。 多分あの試合から。最後の試合の投手の神がかったピッチング。 もう10年近く野球をしてきて、あんなに自分の才能の無さに悔やんだことはなかった。 「はあ、疲れたなあ。」 声に出して呟いていた。
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