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「私は正気ですが、国際雇用研修事業団に問い合わせたところそういう返答でした」
「正気か?それじゃあ国家予算じゃないか!」
日本の国家予算は年200兆円、10兆といえばインドネシヤやフィンランドの国家予算。
「前の理事長もそれで一刀両断、言下に却下しました」
「うん。そうだと思う。しかし」
「理事長、そこです。しかしです。もしその10兆円でこの国が復活し再び日昇る国となったらどうでしょうか」
「うん」
国民が自信を取り戻し、国が明るくなって景気がよくなれば。
理事長補佐は言った。
「結果的に税収増が見込まれましょう。それがもし10兆円以上、仮に20兆円だとしたら?」
理事長は思案顔をして言った。
「たしかにかつて金融緩和という景気対策で、過去に税収が何兆円も増えたことはあったが、リフレ派の夢物語だな?」
「ええ」
一年後、
「調査によれば」と理事長補佐は報告書を手にして言った、「この国は悪のタイムトラベラーによって未来を変えられている。それを修復するために日本にはさらに10兆円の予算が必要とのことです」
「バカな。人をおちょくっとるのか!」と理事長は白目をむいて叫んだ 「さらに10兆円!!」。受け取った報告書に目を通すこともなかった。
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