【第2話:対の契り】

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 内心軽くショックを受けていると、サクナおばさんは言葉を続ける。 「薬草採取の依頼を次の日に持ってくるのは別に当たり前のことだけどさぁ。あんた昨日受けたオーク討伐とかも難易度関係なく必ず依頼受けたその日のうちに達成して次の日の朝一に報告にくるだろ? おまけに腰にはちょっと禍々しいけど立派な剣をさしてるのに魔法でしか戦わないときてる」  この世界には魔剣や魔法剣、精霊の杖など名のある様々な武器が存在する。  そしてそれらの名のある武器の中でも上位に位置する物は、ある契約を交わす事で大きな力を行使する事が出来るようになる。  その契約は【(つい)(ちぎ)り】と呼ばれ、大きな力を得る事が出来る代わりに他の一切の武器が使えなくなるのだ。  オレもこの(つい)(ちぎ)りを交わしているので、 「いやぁ。オレ、この剣と(ちぎ)っちゃってるから杖持てないんですよねぇ」  とおどけてみせる。  おどける必要はないのだろうが、魔法使いに有利な杖が持てないのは本当の事だ。 「え? あんた魔法使いなんだよね?」     
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