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【第3話:ギルド依頼】
オレは怒るセナを宥めて冒険者ギルドから連れ出した後、村で唯一の鍛冶屋に来ていた。
「おやっさーん。頼んでおいたもの出来てる?」
村のはずれのこんな立地でも何とかやっていけているのは村で唯一の鍛冶屋というのもあるのだが、元々大きな都市の工房で働いていたので腕は確かだというのも大きかった。
「ん? なんだテッドか」
「なんだとは失礼だな。そんな愛想のない接客してると客こなくなるぞ」
オレが愛想のない返事に突っ込むと、おやっさんは
「うるせーな。オレは鍛冶屋だ。武器や道具は売っても愛想は売ってねーんだよ」
と言いながら一人でニヤニヤしている。
「なに上手く返してほくそ笑んでるんだよ……そもそも上手くもねーけど」
「うん。気持ち悪いね」
「く!? テッドはともかくセナに言われるのは嫌だな……」
オレは良いのかよとまた突っ込みたくなるが、話が前に進まないので聞き流してもう一度頼んでおいたものが出来ているのか聞いてみる。
すると、おやっさんはニッと笑って何も言わずに奥の工房に引っ込んでいく。
後ろで「やっぱり気持ち悪いね」とかセナがまた呟いているが、可哀想だからおやっさんには内緒にしておいてあげよう……。
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