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それから程なくしておやっさんが戻ってくると、
「ほらっ。出来てるぜ」
と言ってカウンターに、その髭面からは想像できないようにやさしくそっと小ぶりの剣を置く。
「ほら。冒険者になれたら武器を買ってやるって言ってただろ?」
オレはそう言ってセナにカウンターの上の剣を受け取るように促す。
「えぇ!? 冗談だと思ってたのに本当だったの!?」
なに!? 冒険者認定試験に合格したのを聞いて慌てて依頼したのに……。
「なんだ。いらないんならオレが受け取っちゃうぞ?」
と剣に手を伸ばすふりをすると、セナは
「うわぁ!? うそうそ! いるいる!!」
と言って慌てて剣をつかみ取っていった。冗談なのに……オレって信用無い……?
しかし、ついこの間までオレの後をちょこちょことついて回っていたのに……子供の成長は本当に早い。
その小さかったセナが剣を鞘から抜いて嬉しそうに振っている姿は思ったより様になっていて、ちょっと感慨深いものがあった。
「まぁ無茶な使い方しなければDランクの間ぐらいはずっと使えるだろうから、ちゃんと手入れして使うんだぞ」
「わかった! テッドお兄さんありがと!」
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