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【第4話:魔力結晶】
眩しい朝の光を浴びてから、幾ばくかの時が流れていた。
不意に頬に当たる冷たい感触に意識が少し呼び戻される。
「ん……? 一瞬意識が飛んでいたようだ……そこはかとなく眠い……」
気合いを入れればオレの体は3、4日程度徹夜しても大丈夫なはずなのだが、ただただ魔物が現れるのをじっと待っているのは中々に辛い。
「ここ最近受けた依頼の中で一番きついかもしれん……」
オレは一人愚痴ったあと改めて周りに目を向ける。
苔の生えた古びた祠は、まるで時の流れなど止まっているかのように静かにそこに佇んでおり、遥か昔にここに建てられ、長い時月を魔力乱れを鎮めるという役目を忠実に果たしてきた。
それはオレがここに張り込んでからも変わりなく……つまりは何も起こっていなかった。
「暇だ……オレはこのままここでお爺さんになるのだろうか」
自分で言ってても馬鹿だなぁと思うような馬鹿なことを呟きながら、オレはそれからさらに数刻の時が流れる間、調査依頼と言う名の睡魔との戦いを続ける事になるのだった。
~
もう魔物の異常行動など起こっていなかったって事で報告してしまおうかとぼんやり考え始めた頃、それは突然現れた。
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