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「待ちに待った魔物さんの登場なんだが……」
オレの視線の先、祠の向こう側に現れた魔物の名は、
「戦士蟻か……」
身の丈1.5メートルに迫る巨大な赤みがかった蟻の魔物だった。
「これはまた判断が難しいのが現れちまったな」
戦士蟻自体はそこまで珍しい魔物ではない。
Dランクの冒険者でも何とか倒せる程度の強さだし、観察する限り今の所は特別おかしな行動は取っていない。
しかし、ここには本来生息しているはずがない魔物だ。
正確に言うなら、この辺りの魔力乱れからは発生しないはずの魔物なのだ。
その発生しないはずの魔物、戦士蟻が既に三匹にまで増殖している。
今回の調査目的である魔物の異常行動というわけではないが、普通に異常事態だ。
このまま観察していると村に被害が出る可能性が高い。
「この村での生活は案外気に入っているんだ。悪いがこのまま放置しておく事は出来ないな」
調査依頼としては失敗扱いになるかもしれないが、まぁこれは見過ごせないだろう。
それに調査依頼はまた明日やり直せば良いだけだ。
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