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オレは意識を戦闘モードに切り替えると、鞘ごと愛剣を腰留めから抜き放って戦士蟻に向けて詠唱を開始する。
ちなみに杖代わりに使うだけなので、鞘を左手で掴んで剣の柄頭の部分を敵に向けている。
≪黒を司る穢れの力よ、我が魔力を贄に荊棘となりて怨敵を貫け≫
今のオレの状態で唯一使える属性魔法である黒魔法。
その中では比較的初歩の魔法とされている黒き荊棘で敵を貫くその魔法が、オレの魔力を贄にして具現化されていく。
≪咎人の荊棘≫
オレの詠唱完了と共に戦士蟻に向けた愛剣の先に小さな黒い魔法陣が現れると、影すらも飲み込む漆黒の荊棘が飛び出し、一匹の戦士蟻の頭を音も無く貫いた。
「良し!」
オレは小さな声でそう呟く。
仲間に警戒を促す擦過音を出す事さえ出来ずに崩れさるその様子を確認すると、続けて二匹目の戦士蟻にも同じ運命を辿ってもらう。
≪黒を司る穢れの力よ、我が魔力を贄に荊棘となりて怨敵を貫け≫
≪咎人の荊棘≫
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