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アキくんは困っていた。
それもこれも全部マホちゃんのせいだ。
マホちゃんはこの小学校へ1カ月前に転校してきた女の子だ。
とても活発な変わった子で、転校してすぐみんなの注目の的になり、瞬く間に学校中で有名になった。
そして、それからすぐ困ったことしても有名になった。
とにかく不思議な子なのだ。授業中にはよく抜け出すし、変な格好で学校へ来ることもある。黒猫へ話しかけているところを見たという子もいる。
だから、誰もマホちゃんに近づかない。
そんなマホちゃんのほぼ唯一の友達がアキくんだ。
理由は単純で、ただ席が隣だから話しかけられるようになり、そのままマホちゃんの不思議な言動に振り回されるようになった。
アキくんもアキくんで押しに弱く、断るのが苦手で、いつもマホちゃんに振り回されてばかりだ。
そして、今日もアキくんはマホちゃんの行動に困っていた。
授業中だというのに、マホちゃんはアキくんの手を強引にひっぱって教室の外へ飛び出してしまったのだ。
手を引かれたまま、慌ててアキくんは尋ねた。
「マホちゃんマホちゃん、教室から飛び出してどうしたの?」
マホちゃんは答えた。
「窓の外に黒色の影が見えたの。あれはきっとアクマよ」
「アクマ?」
「そう。真っ黒でとっても大きな影で、悪さをする悪い奴なの」
「アクマを追いかけてどうするの?」
「決まってるでしょ、退治するの。だって、私は正義の幼女なんだから」
こうなるとマホちゃんは何を言っても止まりません。アキくんはため息をつきました。
「……ところで“ようじょ”ってどういう意味?」
「確か、不思議な女の子って意味よ」
「へえ」
アキくんはマホちゃんの知識に感動しましたが、どうやらマホちゃんは“魔女”のような意味だと勘違いしているようだ。
こうして2人は学校に潜むアクマ退治へ乗り出した。
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