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2人は授業中の学校の廊下を隅々まで調べながら歩いた。
休み時間には生徒でいっぱいになる廊下が今は静かで、授業中の先生の声が響いているのが何だかちょっと不思議だ。
まるで、まったく別の世界に迷い込んでしまったみたいだった。
「もしかしたら本当にアクマがいるかもしれない」そう感じて、少し怖くなったけど、そんあアキくんに構わず、マホちゃんはズンズンと廊下を進んだ。
そして、1階から探して1番上の階まで調べた2人だけど、結局何も見つからなかった。
アキくんは、これでやっと教室に帰れる、と素直にほっと胸をなでおろす。
けれど、マホちゃんの足は止まらなかった。
「なに休んでるのよ」
「え? だって、もう全部調べたよ?」
「何言ってるの。まだ上を見てないじゃない」
「上? だってここが1番上だよ?」
「そんなことないわよ」
と、マホちゃんは上を指さしながら言った。
「まだ屋上が残ってるじゃない」
その言葉を聞いてアキくんは今すぐに泣き出したいような気持ちになった。
「やだよ。行きたくない」
「どうしてよ」
「だって、屋上へは行っちゃだめなんだ」
「バレやしないわ」
「鍵がかかってるよ」
「窓から忍び込みましょう」
「イヤだよ」
「じゃあ、私1人で行くわ」
そうしてマホちゃんはまたズンズンと屋上への階段を登り始めた。
アキくんはその背中を見送って、
「……うぅ」
結局、少し遅れてマホちゃんの後を追って階段を登った。
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