理由はいらない

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「ところでこの部活ってなにするの」 俺が尋ねると奴は少し考えた。 「なんでも、ありだと思う。それに何より俺はこの部活に入ったらこれに触りたかったんだよ」 そう言ってから、ある機械に手を伸ばした 通称 『触れる地球』 直径1メートルほどの半球全体がパネルとなっており、地球の表面が映し出される。 触るとタッチパネルなのでその通りに地球が動く。 普通の学校にはあまりない、珍しい機械だった。 俺がそれの電源を入れる。 「良くできているな。触るとなんだか不思議な気分になる」 俺がいうと奴も触った。 「こうやって地球に触ってさ、星座の本を読んで、望遠鏡を覗いて、たまには天体観測にどっかに出かけたりして」 コイツは語りながら地球から目を逸らさない。 「そんな普通を当たり前にする部活にできればいいと思ってる」 そう言ってから照れ臭そうにはにかんだ。 だから俺も合わせた。 「俺も」 コイツはさらに続けた。 「それでいつか宇宙旅行とか行けたらさ」 「…うん」 「ホンモノの地球に手を伸ばしたい」 「そっか」 「お前は?」 「そうだな。俺も…」 宇宙に行くなら、お前とがいい。 幼馴染のお前が、初めてホンモノの地球を目にする瞬間を見ていたい。
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