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本当は全く天体に興味がなくても、邪な思いがあれば続くものだ。
入部してから俺は1日も欠かさず部室に来ていた。
先にいるのは必ずアイツの方。
「おつかれ」
と綺麗に微笑んで部活を始める。
「おう」
と返すとアイツはメロンほどの球体の機械を取り出した。
「なにそれ」
「ずっと家に眠っていたみたいなんだ」
「それが?」
「うん。プラネタリウム」
プラネタリウム。
非日常の言葉に心が少しときめいた。
天体がわからなくても
地学の成績が悪くても
小さい頃からプラネタリウムは好きだった。
数多の星々をぼんやりと眺めて、宇宙を彷徨う。
その感覚を少し思い出した。
「プラネタリウム好き?」
アイツが訊いてきた。
「好き…」
「……ボソっ」
「え、何?」
「いやなんでも」
何か言っていたが気にしないようにした。
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