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「今日もまた、恥ずかしい姿を見せてしまいました。ご迷惑でしょうか。いいえ、あなたはそうは思わないのでしょう。あなたは優しいかただから。あなたが優しいかただと、この世界中で、僕だけが知っています。どうか僕を突き放さないでください」
柳瀬はトルソーにすがっていた手を彼の身体に這わし、下へ下へと、その手を滑らせていく。
その姿は昼間の紳士然とした柳瀬とは正反対の淫靡で妖艶な雰囲気に包まれており、昼間の顔を知っている者をひどく驚かせるだろう。
「ああ……」
彼の陰部に顔をうずめ、柳瀬は短く嘆息する。
「こんなにもあなたを求めているというのに……」
柳瀬はトルソーに口づけながら、自らの衣服を緩めていく。
性急に。それでいてどこか彼を焦らすように。
ベストの前ボタンを上からひとつずつ外していき、シャツのボタンも同じように外していく。ボタンが外れるごとに柳瀬の雪のように白い素肌があらわになっていく。
「早く……早くあなたがほしい……」
シャツを脱ぎ捨てた柳瀬は、自らの髪をかき乱し、そのままの勢いで、彼に着せていたジャケットを脱がせる。
ジャケットはするりと、肩から落ちた。
「私を抱いて……」
そのまま柳瀬はトルソーを押し倒し、共に床に伏せた。
「こうしていると、まるで僕たち恋人同士みたいですね」
彼からの返答はない。わかっていても、柳瀬はトルソーへ話かけ続ける。
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