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会社に休暇届けを提出していた。
赴くまま、パスポートを取得し、飛行機に乗った。
紛争地区で、生の空気を吸った。
仕事が嫌になった訳ではない、女性社員からの評判も上々だ、友達にも良くして貰ってる、閃いた訳でも操られている訳でもない、理由が存在しないのだ。
この地区を見て歩く事で、確信が生まれていた。
俺は、生へのリアルが欲しかったのだろう。
ここでは、生きる事に意味など存在し無かった。
皆が、活きている。
生きている。
ただ生きて行く、逸れこそが尊いのだ。
人が人と争う、彼等はまだ気付いていないだけだ、命の素晴らしさを!
この紛争地帯でも命の素晴らしさを知れば、愛するものに慈しみも生まれるだろう。
こんな簡単な事に、今まで気付く事が出来なかったなんて、俺はバカだな。
大自然に包まれて、初めて気付く事が出来た、俺は、あの娘の事を好きだったんだ。
早く会って伝えたい、この沸き上がる想いを、ここで感じた総てを。
朝日に輝く涙が頬を伝って落ちた、恥ずかしくなど無い。
有りのままを見て欲しいんだ!
俺は、朝日に叫んだ。
『2度と忘れないからな! この景色! 後悔なんか1つも無い有難う』
「そして空を見上げた」
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