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望遠撮影
「ピント、合った?」
「はい」
「画角気をつけて」
「はい」
「……緊張してる?」
「はい……」
「緊張は少しするくらいでいい。レリーズ使うとはいえ、ブレたらアウトだからね」
「……頑張ります」
頷いた瞬間、物音に驚いて三脚に触ってしまった。
雪が落ちただけだと怒られ、重い望遠レンズとカメラの角度を直す。
こんな超長距離望遠は初めてだ。
練習なら何度もした。でも実戦で失敗したらと思うと、手袋の中が汗で滑る。
「時間」
雪より冷たい声がして、もう一度、ピントを合わせる。
隣で教官もファインダーを覗いているはずだ。
この距離でも、ミラーレスの愛機。しかも目視なんて。
「3」
声をひそめたカウントダウンが始まった。
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