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ナツミは少しフラつきながら歩いていた。そして空を見上げたら白い丸い物体が四機飛んでいた。あれは何だろうと思った時に後ろの白い未確認飛行物体がスーッと消えた。もしかして、あれはあれだわ。絶対UFOなんて今のナツミにはどうでも良いことだった。突然警察車両が止まり、刑事が数人降りてきた。任意同行され、素直に従った。事実、カレシの朝のコーヒーに強い睡眠薬を飲ませていた。別れを告げられ結婚式の衣装合わせに行くと言われたからカーッとなり殺害しようとしたのだ。しかし、カレシはドアノブに首を吊り吉川線を残し殺害されていた。「私は首を絞めてはいませんが、殺意はありました。」と取調室で泣きじゃくっていたら、ドアが開いて別の刑事と話をした後、「犯人が自首してきましたから帰って良いですよ。」と言われたが、後日また話を聴きたいと言われた。ナツミの知らない女が夕刊に載っていた。しかし、「睡眠薬を飲ませなければ彼は殺害されることはなかったから私も逮捕して下さい。」と署内でまた泣きながら話したら、「あなたが飲ませたのはビタミン剤でしたよ。睡眠薬は検出されてないから」となだめられ、バッグから「この薬ですから。」と差し出したら刑事が「ああ、これは僕も飲んでるビタミン剤と同じだよ。」と笑って答えた。カレシから渡されたから調べずに信じ切っていたのだった。 犯人はお腹の赤ちゃん堕胎を強要され別の女との結婚を聞かされ犯行に及んでいた。ナツミは私の代わりに殺害してくれたかとも思ったが、犯人の女のこれから直面する辛い現実に私はまだマシかと深い溜息を吐いた。帰りに寄った結婚相談所から「今夜パーティーありますから出席しませんか?」と招待券を渡され、会場に着き、大勢の会員の中で寂しさを紛らわせていた。シャンパングラスを渡してくれた男性会員と話をした。夜中に魘されて飛び起きたら、その男性が、「宇宙人!と叫んでたけど、大丈夫?僕は地球人だからね。」と笑っていた。その時二人でホテルに入った事を思い出した。昨日すっかり忘れていたUFOらしき物を見た話をして二人で笑った。そして、その時にはもうモトカレを忘れていた。
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