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ジェレミー・マシューの遺体が発見されたのは、翌日の朝のことである。
地元警察によるとジェレミーの死因は大量出血によるショック死。凶器のナイフが近くに落ちていたことや遺体の状況から自殺と判断された。
だが、ジェレミーには殺人容疑もかけられていたのである。
ジェレミーが覆いかぶさるようにして眠っていた遺体。
一見すると棺に入れられた花嫁の憐れな亡骸であるが、その正体は五年前に行方不明になったトオル・ブラックリーという名の日系人の男性である。
トオルの遺体には性的暴行を受けた傷があり、直接の死因はジェレミー同様、胸を刺されたことによる失血死であった。
だが、トオルの心臓は一突きにされており、明白な殺意が見受けられた。
それだけではない。新聞をにぎわせたのは、トオルの身体が死後五年も経過しているのに、まったく衰えていなかったという事実である。
トオルの遺体は何者かの手によって防腐処理され、生きた屍と化していたのだ。
この猟奇的な事件はセンセーショナルに取りざたされたが、結局は容疑者死亡で片がつき、やがて忘れ去られていった。
その後、ジェレミーの屋敷は不審火に遭い、跡形もなく焼け落ちてしまう。
しかし教会跡地には鈍い光を放つあるものが残されていた。
それは悲しき男たちの最期を看取った、一組のプラチナリングだった。
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