オレンジの匂い

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目覚めるとそこには君がいた。 私の大好きな君が。 昨夜の事を鮮明に思い出す。 唇と唇を重ねる君と私。柔らかくてあたたかい君の唇が重なる。私は目を閉じて受け入れる。君が後頭部に手をもってくる。唇を離すと見つめあい、そのままベットに倒れこむ。少し赤くなった君の顔が少し可愛く思えた。土で少し汚れたシャツを君が脱ぐ。オレンジの畑匂いがする。オレンジのいい匂い。君の首筋からほんのりと匂う甘酸っぱい香り。 君のその匂いが、緊張していた私をほぐしてくれた。私は君を求める。そして君も私を求める。 痛くても涙を流しても、私は続けてほしいと願う。君は私の涙をてでぬぐい、続ける。 赤くじょうきした君の顔がとても愛しい。 初めて私たちは愛を確かめあった。言葉で体で。 そして初めての朝をむかえる。 私はベッドから出るとエプロンをかける。 冷蔵庫から卵を出して熱したフライパンにのせる。 トースターで二枚食パンを焼く。 フライパンにのっている卵をかき混ぜる。 君の好きな半熟。少し失敗したけど。 焼けたパンとスクランブルエッグを皿にのせてリビングにあるテーブルにのせる。 ガチャ 君がおはようと微笑みかける。 おはよう私は優しく微笑みかける。テーブルまで案内し見てと言わんばかりに君の好きな半熟スクランブルエッグを見せる。 ありがとう 君が笑う。 そういうと私たちは椅子に座り食べ始める。 君の作ったオレンジジャム。 ほんのりの甘くて酸っぱい。 でもこの香りが私は大好きだ。
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