封筒

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 太陽もほとんど姿を隠し、薄暗くなった公園には誰もいなかった。元から遊ぶ人間なんて滅多にいない公園なんだからいつも通りなのだけれども、今の俺にはそれが好都合だ。俺は青いペンキがほとんど剥がれている年季の入ったベンチに座るとギターを弾き始めた。  コードなんて一切わからないし、弦の押さえ方すらよく知らない。それでも楽しかったんだ。なんというかやっと自分を表現するための手段ができて陶酔していたのだと思う。ギターを鳴らすのがただただ楽しかった。  三十分ほど弾いた頃だろうか、公園に二人の人間がやってきた。顔はよく見えないが身長からすると小学生ではないだろう。その二人は俺に気がついて近づいてきた。  「お前何やってんの?」  同じクラスの中山だった。その隣にいるのはいつも中山とつるんでいる木下だ。いつも何かと突っかかって来る面倒な奴らだ。  「おい、中山。雅人がギター持ってんぞ」  木下は俺が手にしているギターを指差しながら中山に呼びかけた。  「本当だ。どうしたんだよそれ。まさかお前ミュージシャンでも目指すのかよ。合唱の時にいつも音外してるくせによ」  中山は木下と一緒に俺を嘲り笑う。その態度が癇に障ったが俺は自分を宥め、怒りを鎮めた。  「うるせぇよ。なんでもいいだろ」  ギターをケースに戻して立ち上がる。こんな奴ら相手にせずに帰ろう。  
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