目が覚めると...

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2018年4月1日午前6時30分起床。 私の名前は、道川あらた 39才 会社員 独身 この20年間彼女は1人もいない。 私は今年で40才になる。 このまま一人で余生を過ごすのも、自由で楽しいだろうと考える自分に嫌気がさすときがある。 午後18時仕事が終わり、居酒屋にて、お酒飲み、ぐだくだに酔っぱらい、歩いて最寄りの駅に向かっていた。そのとき途中の路地裏にやんわかな光にともされたチケット屋さんがあり、その独特の雰囲気のあるお店が気になり、自分の意志とは関係のなく、そのお店に引き寄せられていた。 「いらっしゃい~」お店の独特な雰囲気とは裏腹に店主の男は、アロハシャツを着ている非常に明るい店主だった。 「何かお探しかい?」 「遊園地とかには、興味はないかい?」 「ないですね~」 「行く相手がいないのかな?」 「そうです。40才独身で彼女もいません。」 「そうだろうね~わかってたよ」 なんて、失礼な店主だろうか。 「そんなあなたにいいものがあるよ」 「妄想遊園地?」 「そのチケットを寝るときに手に握るだけ。それだけであなたは、幸せになれる。」 あまりにも胡散臭かったがかなり酔っぱらっており、面白半分でそのチケットを購入した。 その日の夜さっそくチケットを手に握り、寝床についた。 2018年4月2日午前6時30分起床。  そのとき、自分の部屋中に幼稚園児の子供とその母らしき人が立っていた。 そのお母さんと幼稚園児の子供が手を差しのべてきて、自然と手を握った。「親子である」という記憶が私を包みこみ、親子で遊園地を楽しむ体験をした。 そして、また次の差しのべている手を握った。 やはり、また親子であるという記憶が私の脳内に入ってくる。「なんて幸せなんだ」無限に親子としての幸せを感じることができる。これは、天国のようだ。 ふと、テレビのニュースが目に入った。 2018年4月1日午後21時 道川あらた39才 会社員 飲酒による酩酊状態で路地裏にて車にひかれ、事故死 「まさか、私はもう死んでしまっている、あのチケット屋は天国の入口で私の心が読めたのは、あの店主が神様だったから。」 「一番望んでいた幸せは「家族」、天国はその人が望んでいる幸せを無限に味わうことができる場所なのか」 そして私はまた次の手を握った。
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