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第二夜
タナトスはいろんな質問をする。「……とは何?」や「なぜ……なのか?」といった質問が多く、思慮深くはない安治を煩わせる。
その日は少し違っていた。
「幸せ?」と聞いてきたのだ。
「幸せって何?」ではなく。
安治は少し考えて「別に幸せじゃないけど、不幸でもない」と返した。
当たり前にタナトスは解説を要求した。
うまい答えが見つけられず、のらりくらりかわしていると、別の質問をされた。
「幸せな人はいる?」
安治は深く考えず、
「そりゃ、いるんじゃない?」
と返した。
「たとえば、どういう人?」
「たとえば……」
考えてはみたが、かっこいい答えはやはり思いつかない。
「……モテる人とか」
「モテる人は幸せ?」
タナトスが聞き返すのを聞いて、あながち間違ってはいないな、と思った。
「幸せだと思うよ。少なくとも、モテない人よりかは」
「タナトスはモテる。安治もモテる。幸せ?」
「え?」
安治は最初、タナトスが妙なことを言ったと思った。自分がモテている感覚がなかったからだ。
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