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【あとがきという名の出せない手紙】
騙されたとか、裏切られたなんて無粋です
貴女と思っていた人が、貴女ではなく貴方だっただけ
そうしたら、貴女と思っていたあなたは何処へ行ったのでしょう
思考が追いつかなくなったのです
ジェンダーに拘るのではなく、ヒューマンというくくりにしたら、雲を掴むような話として理解出来たけれど
それでも、存在していた貴女を探す私もいて
貴方と共にいる貴女には出逢えたけれど
私が逢っていた貴女というあなたはもう居なくって
私が知っていた貴女にはもう会えないことを知ると、
ただただ、寂しいだけなのです
私は貴女が好きでした
貴女が貴方と知ってもなお、貴女を探す私がいます
私が探すあの方は、木花咲耶姫となり
「ただそこに在る」
そういうことなのかもしれません
櫻の花が舞い降りる季節にだけ
私は貴女に逢うことといたします
心地好い風が
ピンクの絨毯を巻き上げて
青の空に映える桃色の花が
はらはらと舞う季節
目を閉じ貴女を想います
あなたを貴女と疑わなかったあの時へ
貴女に逢いに行きましょう
私が知ってるあの人はもういない
そう想うことが 辛いのです
完
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