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とある宇宙人の発見
「集合時間は2時間後とする。では解散!」
班長が言い終えた途端に、わっとヒトの塊が離散する。
誰しもが仲間と何か喋りながら走っていくものだから、
武器が揺れる金属製のヤな音と、高低様々な話し声が絡まってとてもうるさい。
黙って歩けないの?と内心毒づく。
指摘したところで、改善される気が全くしない。
「雪男ちゃんは真面目でちゅね?」
「友達いないからって嫌味?だからぼっちなのよ」
きっと、そんな風に軽くあしらわれる。
しかも食い下がったら光線銃で撃たれるかもしれない。
クラスメイトは私をサンドバッグとして見ている節がある。
純粋なグレイ系の血を継ぐヒトが多い中で、
強靭な肉体で知られるイエティ系の親を持つから。
私のおばあさんはみんなと同じ、
つるつるで大きな目のグレイ系宇宙人なんだけど。
ふと歩みを止めた。
考え事をしながら歩いてたら何かにぶつかると思った。
…けれど、辺りはずーっと向こうまで灰色の地面が続いていくだけ。
地平線が僅かに青みを帯びているくらいで、
色といえば灰色、黒、濃い灰色、そのくらい。
「(地球って殺風景だな…)」
こんなところを二時間も調査させるとは。
お陰で気分まで地球色だ。
制服のガジェットを開いて探知機を取り出す。
たてがみの裏に埋まっていたスコープも顔に付ける。
曲がったアンテナを力業で真っ直ぐにする。
先生に直してもらうのを忘れていたんだった。
よく探知機を始めとする道具や武器を直して貰いに行くが、
順番待ちの列ができたことは一度もない。
クラスメイトたちが笑い転げて走り回る姿が浮かんで、
私は近くの岩を叩き壊してしまった。
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