俺は君だけを待っていた

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 まだ人気(ひとけ)の少ない通りを歩きながら、一心のアパートは意外と俺んとこから近いことを知る。  春の訪れを感じる季節にはなってきたけれど、朝方はまだまだ寒く、羽織ったコートの襟元をきゅっと締める。  はぁーっとこぼれた溜め息で空気が白くなるのをじっと見つめながら、俺の心は後悔でいっぱいになっていた。  こうなることを恐れていたから、距離を置いたのに。  会うのを避けていたのに。  けど、心の奥底では、ずっとこうなることを望んでいた。  俺はなんだかんだ言って、ずっと、ずっと……おまえだけを待っていたんだ。
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