俺は君だけを待っていた

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 ほぼ全員が集まったところで、一番隅の席に腰を下ろした。  まずは乾杯をして、みんなビールやカクテルなど好みのものを飲み始めた。  俺もジョッキに入ったビールをぐいっと煽るように半分ほど一気に喉に流し込む。  そして小さく息を吐いたあと、目の前に並べられている料理を小皿に取って食べ始めた。  他のやつらは久しぶりの再会を楽しむように、話に夢中になっている。  俺には、そんな風に会話を楽しむやつはいない。  そう、アイツ以外は──。  今アイツはどうしているのだろうか。  卒業して、連絡を絶ったのは俺の方なのに、何で来ないんだよと悪態をつきたくなっている俺は、ただ自己中なだけだ。  そんな自分に嫌気がさす。  小さく息を吐いたあと、ジョッキに残っていたビールを一気に飲み干した。  いつの間にか、三杯目のジョッキが空になっていたときには、ぐわんぐわんと視界が歪んでいて、何も考えられなくなっていた。  そのうち、テーブルの上で組んだ腕に頭を垂れて、そのまま眠りに就いてしまった。
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