引退

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90年代に突如としてあらわれた歌姫・ブルックリンさち代。 ルックスや歌唱力のみならず、歌いながらマジックを披露するパフォーマンスでカリスマとなったシンガーだ。 そんなカリスマが、引退する。 ブルックリンはダンスボーカルユニット「酔い止め」のドラム担当としてデビュー、セカンドシングルの「足かせ」でボーカルに抜擢され人気となった。 90年代に活躍したプロデューサー・コモドドラゴンてつやに見出され「カッターはジェノサイド?」でソロデビューを果たすとこれが2週連続1位となり、その人気は確実となる。 90年代の終わりに業務上横領罪で逮捕されるも、2000年に入ると新境地を開拓。 歌いながらのマジックに加え、腹話術の要素も取り入れた。 これが腹話術を知らない世代にウケ、この年にリリースされた「衛星中継の様に声が遅れる私レボリューション21」は現在まで50人以上にカバーされる名曲となった。 特に、カバーによるリバイバルヒットが起こった2007年の紅白歌合戦はこの曲だけで8組のアーティストが選ばれる事態となった。 2000年代も終わりを告げる頃、かつての若者は大人になっていた。 再び業務上横領罪で逮捕されるも、2010年の夏に新境地を開拓。 歌いながらマジックを行い腹話術の状態で食べるラー油を食べるシンガーとして再度注目されることになる。 この年に発売された「北からきたものを南に受け流すハンカチの王子」はダブルミリオンを達成。 ブルックリンは新たな時代でも若者のカリスマとなった。 近年では膨れ上がった自身の特徴をいくつか削っており「マジックのできる腹話術師」として活動している。 新たなファンを獲得・魅了し続けていた彼女だが、岩手~新潟のツアーを最後に引退を決めた。 都内のCDショップでは過去発売したカセットテープが在庫切れになる事態が多発した。 元々在庫がなかった店舗もあるにはあったが、在庫がないことに変わりはない。 それは永遠に変わらない輝きをはなつブルックリンのようだった。
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