眠り続ける森の美女

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 そうして迎えた、テイクフォー。    ユアン王子の百年後に現れた北の国のデリ王子は、アレク王子に引けを取らない身目麗しさだった。     見た目が良いばかりではなく、会話も上手くぽんぽんと話が弾んだ。気の利いた冗談を言うユーモラスさを兼ね備えていながらも、ティム王子やアレク王子のように、決して余計なことは口にしない。口だけではなく、気遣いもエスコートも完璧で、正に、姫が夢に見ていた理想の王子に思われた。  だが、しかし。 (うーん……ここまで完璧だと、女の子が放っておかなさそう。夫にするには、少しぐらい欠点があったほうが、安心だわ)    彼女は、正に女性の理想を具現化したような王子様の脇を通り抜けると、錘に手を突き刺し、再び城と共に眠りについた。
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