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MOMは宿主に寄生する際、生存率を高めるために治癒力や免疫力を向上させ、身体能力を活性化させることがわかっている。これが人間のような知性の高い生物の場合、脳の働きも活性化させる。
さらに、面白いのは、MOMは、寄生した際の生物の記憶を保持しており、やのこれは研究の結果で判明したことだが、寄生者がいかに誠実であっても、寄生する宿主――つまり地球人の性格が反社会的な思想や、習慣を持っている場合、宿主に寄生者の心が影響され、反社会的な行動をとることが分かったのである。
スズキ トモヤスに現在寄生しているMOM――識別番号V0038は、すでにそうした素行の悪い人間の悪影響を受けていたため、治癒と免疫力強化に注力が必用なボディ――すわなち、素行の良い瀕死の状態の人の身体が提供されていた。
20分後、サングラスをかけた二人組みの男が鍵の開いたドアを開け、依頼主の寝室のドアを開けると、体中から血を流した男がベッドに横たわっていた。スズキ トモヤスの変わり果てたボディだ。
「V0038様お待たせいたしました。身体換装サービスです」
男たちはスズキ トモヤスのBODYに話しかける。すると死体がぬくっと起き上がり、聞き取りづらい濁った声で応答した。
「ハヤク、シテクレ」
「こちらが新しいBODYになります。」
そういうと1人の男が連れの男のサングラスをはずした。その男は、うつろで目の焦点があっていない。
「1週間前、熱中症で倒れ、そのまま息を引き取った シマザキ トシオ という男です」
どうやらスズキ トモヤスのBODYのダメージは深刻らしく、目もまともに見えていないらしかった。
「イイカラ、ハヤク」
サングラスの男は、連れてきた男をスズキ トモヤスの横に座らせた。
どうやらこの男にはまるで意志がなく、動きがぎこちない。
「それでは補助回路を切断します」
サングラスの男が、ポケットから小さなリモコンのようなものを取り出す。
慣れた手つきで操作をすると、連れてきた男は急に意識を失ったようにぐったりとした。
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