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第二の人生
目を覚ますと、痛いほどの眩い光で目が眩んだ。
俺は手術台のようなところに寝かされ、無影灯のような明かりに照らされていた。
耳元では、まるで受話器越しのFAX音のようなものが聞こえている。
天井には蛍光灯はなく、天井そのものが明りの役割をしていた。
台から起き上がると、そこは処置室のような場所で他に誰もいない。
部屋の隅には横長の台の上にガラスで出来た半円形の医療ポッドのようなものが置かれていた。
ふと隣の部屋から声が聞こえてきた。
「あなた!まだ着かないのかしら」
「もう少しだよ、ハニー」
「ダー、おやつまだ?」
「それはお母さんに言いなさい。娘よ」
「遠すぎるのよ、まったく」
「もうすぐ着くから機嫌直してくれよ、ハニー」
俺はふらつく足でドアの前に立った。
隣の様子を伺おうとドアを少しだけ開けるつもりだったが、ドアノブを探しているうちにドアは勝手に開いてしまった。
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